突然ですがみなさん、辛いものと言われて何を思い浮かべますか？ひとえに辛いものといっても、そもそも辛みにはいろいろな種類があります。塩気が強い、いわゆる塩辛いと言われる辛み、お刺身やお寿司などに使われるわさびの鼻につーんとくる辛み、おでんや肉まんなどに使われるからしの辛みなど、様々な辛みがありますが、その代表とも入えるのは、やはり唐辛子による辛みではないでしょうか。
唐辛子はカレーや中華料理において大切な調味料として認識されており、これらの味付けには欠かすことができない大切なものですが、最近では違う方面でも重宝がられる傾向にあります。その代表がダイエットの世界でしょう。唐辛子が代謝を亢進させ、ダイエットに効果的であるとして、唐辛子ダイエットなるものが流行しました。しかし唐辛子を食べることで本当に痩せるのでしょうか。今回はこれを検証したいと思います。
～目次～
【唐辛子の辛みの正体】
まず始めに、辛みは味覚ではありません。正確には痛みです。辛みを感じる原理は、肌をつねられて痛いと感じるのと同じ原理です。また実は先ほどあげた例では、塩辛いのは辛みではありません。塩辛いのは味覚で言うところ “塩味” です。少しややこしいのですが区別されます。
また、辛み成分には様々な種類があります。直感的にもわかると思いますが、わさびの辛み成分と唐辛子の辛み成分は同じではありません。あの鼻につーんと抜けるわさびの辛みの正体はアリルイソチオシアネートという成分で、ただ辛いだけでなく殺菌作用も有します。唐辛子の辛み成分はカプサイシンといいます。余談ですが、カプサイシンとカプサンチンは違う成分です。カプサイシンが辛み成分であることはお話しましたが、カプサンチンというのは色の成分であり、辛み成分ではありません。
【カプサイシンで痩せるメカニズム】
さて、ここからが本題です。まぁ今までも大事ですが、ここからがもっと大事です。なにせダイエットに関わるところです。よく言われている、唐辛子を食べると痩せるというのはどのようなメカニズムなのかを以下で説明したいと思います。
唐辛子を食べることで、唐辛子に含まれるカプサイシンが体に刺激を与えます。この刺激は一種の痛みです。人間の体は痛いと感じるとストレスホルモンが分泌されます。このストレスホルモンとはカテコールアミンというものです。カテコールアミンといわれても皆さんには聞き覚えがないかもしれませんが、アドレナリンと呼ばれるホルモンならご存じかもしれません。アドレナリンはカテコールアミンの一種ですので、働きはほとんど同じと認識してもらって構いません。
さて、このカテコールアミンというホルモンは脂肪を分解するように働きます。これが唐辛子を食べて痩せるというメカニズムです。また、脂肪が分解され、エネルギーが放出されます。このエネルギーとはいわゆる熱のことですので、唐辛子を食べることで体が熱く感じます。
【実際に痩せるのか】
さき程のメカニズムの紹介で、脂肪が燃焼することはわかりました。しかし問題はその量ですよね。たとえ本当に脂肪が燃焼しているにしてもそれが微々たる量であれば痩せるとはいえません。
これについての研究がアメリカのパデュー大学で行われました。この研究では、唐辛子を１ｇ食べた者と食べなかった者との食べた後のエネルギー消費量を、食べた後４時間３０分の間にも渡って計測しました。そして、その結果食べた者は食べなかった者よりも消費カロリーが多かったのです。
この結果についてはメカニズム通りです。脂肪が燃焼しその結果としてエネルギーが消費されたと考えられます。しかし、問題はその消費カロリーの量です。なんとたったの１０kcalだけだったのです。これはかなり少ない量です。
唐辛子は１本の重さが約０．４gですので、３本以上の唐辛子を食べた計算になりますが、それで消費したカロリーは約１０kcal、この消費カロリーはご飯１口分よりも少ない計算になります。どうですか、これでは割に合わないと感じませんか？
【唐辛子ダイエットのまとめ】
では、まとめです。ずばり結論ですが、唐辛子で脂肪が燃焼するのは本当だが、それによる消費カロリーは非常に少なく、ダイエット効果は無いに等しい、です。もちろん、唐辛子が好きな人が食べるのを否定するわけではありませんが、ダイエットのためといって無理に唐辛子を食べるのはやめた方がいいような気がします。
